管理栄養士監修|ぶどうの栄養と効能を紹介

管理栄養士監修|ぶどうの栄養と効能を紹介

ワインやジャムなど幅広く楽しまれているぶどう。ぷりっとした丸い果実の中には、どのような栄養素が入っているのでしょうか。

この記事ではぶどうの栄養素と効能について、管理栄養士が解説します。最後まで読むと、食べるのがますます楽しくなりますよ。

ぶどうの栄養成分

シャインマスカット、巨峰など含め、すべて「ぶどう」として成分表に記載されているため、ぶどうの栄養成分を紹介します。

皮なしぶどう
皮ありぶどう

※100gあたり
※文部科学省「食品データベース」

皮ありのぶどうは、皮なしよりも栄養価が高くなります。とくにアルギニンやグルタミン酸は倍以上違うので、せっかくなら皮ごと食べられるシャインマスカットやナガノパープルなどがおすすめですね。

「ぶどうの栄養素を摂ることでどんなメリットがあるの?」という疑問は、次の章で解決できます。

ぶどうの効能

ぶどうの栄養素を日常的にとることで、3つの効能が期待できます。

  1. エネルギー源
  2. 抗酸化作用
  3. 不要なものの排泄をサポート

順に説明します。

1.エネルギー源

ぶどうは糖質を含んでいるので、体のエネルギー源になります。最近は「糖質=太る」なんてイメージが先行していますが、適量を食べる分には、太ることはないので安心してくださいね。

また皮ごと食べれば食物繊維も補えるため血糖値の上がり方も緩やかで、ダイエット中や糖尿病の方も食べやすいです。おやつや食後のデザートには、皮のまま食べられるシャインマスカットやナガノパープルをおすすめします。

2.抗酸化作用

βカロテンやビタミンEなど、抗酸化ビタミンを含んでいます。またぶどうの色素の元であるポリフェノールも強い抗酸化作用をもち、体が錆びるのを防いでくれます。

「体が錆びる」とは、細胞が酸化されてしまい、正しい働きができにくくなること。脂質や糖質の代謝が落ちたり、血管の弾力が落ちてしまったり…健康を意識する方にとっては、できるだけ避けたいものですね。

細胞の酸化を抑えるのが、抗酸化作用のあるビタミンやポリフェノールです。ぶどうは体の錆を防ぐサポート役になります。

3.不要なものの排泄をサポート

ぶどうに含まれるアルギニン・グルタミン酸・食物繊維は、体にとって要らないものを排泄する力があります。アルギニンやグルタミンはアンモニアを解毒し、食物繊維は腸内の老廃物を排泄するのに役立ちます。

不摂生が続いたときや疲れがたまったとき、甘いものが食べたくなったらぶどうを思い出してあげてください。

ぶどうの種類と栄養は関係ある?

疑問に思う方も多いのが、ぶどうの種類によって栄養素は変化するのか?ですよね。

現在、文部科学省が発信する食品データベースでは、種類問わず「ぶどう」として栄養成分値が公開されています。よって、シャインマスカットや巨峰、デラウェアでどの程度差が出てくるのか、ハッキリお伝えすることができません。

ただシャインマスカットとデラウェアでは1粒のサイズが違います。1粒当たりのカロリーや糖質の違いは以下の通りなので、目安にしながら食べる量を考えてみてください。

  • シャインマスカット1粒(約10g)=約7kcal、糖質2g
  • デラウェア粒(約2g)=約1kcal、糖質約0.4g

ぶどうを食べる適量はシャインマスカット10粒、デラウェア30粒くらい

ぶどうはたくさん食べると糖質の摂り過ぎになります。日常的に食べるときは適量を意識しましょう。

目安は、

  • シャインマスカットやナガノパープル:10粒/日
  • デラウェア:30粒/日

となります。

1日のうちにぶどうしか食べないときの目安です。ほかにもバナナやみかんを食べるのなら、半量や3分の1量に減らすなど調整してくださいね。

「ぶどうの栄養ここが気になる!」に回答

ぶどうの栄養について気になる疑問にお答えします。参考にしてください。

Q.皮ごと食べても農薬の害はない?

ぶどうは皮ごと食べても農薬の害はほとんどありません。栽培過程で果実の部分に袋をかけるためです。

もし農薬が付着していたとしても、水洗いすれば落ちる程度。シャインマスカットやナガノパープルも、安心して召し上がってください。

Q.ぶどうは皮ごと食べないと栄養がないの?

皮ごと食べなくても栄養はあります。ビタミンやミネラル、アミノ酸を補うことができますよ。ただ、皮ごと食べた方が栄養価は高くなります。食物繊維の量も2倍に増えるので、ぶどうの栄養をできるだけしっかり補いたい方には、皮ごとがおすすめです。

Q.ブドウ糖ってぶどうの糖質のこと?

ブドウ糖はグルコースのことで、いろいろな炭水化物に含まれています。ブドウ糖がぶどうの糖質を示しているわけではありません。

実を言うとブドウ糖の由来はぶどうの果汁。果実の甘味について研究をしている学者がブドウ糖を発見した際、使っていたフルーツがぶどうだったそうですよ。

Q.ぶどうでつくるワインって健康に良いの?

ワインは健康に良い作用が複数報告されています。例えば、動脈硬化や認知症にも良い影響があるとされ、ワインをよく飲むフランスでは心疾患による死因が少ないとのこと(※)。これらは、ぶどうのポリフェノールがもつ抗酸化作用によるところが大きいです。とはいえ、アルコールですから飲み過ぎは避けましょうね。健常な方であれば、1日100ml程度のワインが適量になります。

参考論文:農業および園芸93巻4号「ブドウとワインに含まれるポリフェノール類の健康効果

まとめ

ぶどうは抗酸化作用の強いフルーツです。とくにポリフェノールの影響は大きいので、日常的に食べて細胞の酸化を予防するとよいでしょう。

また栄養価で選ぶのなら、皮なしよりも皮ありの方が高いです。食物繊維もとれるため、健康に気を遣われる方はシャインマスカットやナガノパープルなど、皮ありのぶどうをおすすめします。