りんごのおはなし

りんごのおはなし

秋から冬にかけて美味しくなるフルーツといえば、やっぱりりんご! 旬の時期になると、スーパーに並ぶたくさんの種類に、どれを選んでいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか? 今回は、旬の今の時期にしか食べられないりんごについて、栄養士の視点から魅力をたっぷりとお伝えします。旬のりんごを食べて、カラダの中から元気になりましょう!

11個のりんごは医者を遠ざけるってホント?

りんごの驚くべき栄養効果

11個のりんごは医者を遠ざける」という英国のことわざを耳にしたことはありませんか?一日一個のりんごで医者がいらなくなるほど、りんごは健康にとってよい食べ物だという意味です。りんごには、食物繊維の一種であるペクチンが豊富で、腸内環境を整え、便秘の解消や肥満を予防します。りんごから発見されたといわれる、リンゴ酸は疲労物質の乳酸を分解してエネルギーに変えてくれるので、疲労が蓄積するのを防いで疲労回復に役立ちます。その他、ポリフェノールやビタミンCは、強力な抗酸化作用を持ち、体内の酸化ストレスを軽減します。これにより、老化の進行を遅らせ、免疫力を高める効果が期待できます。毎日摂取することで、健康効果だけでなく、肌のハリやツヤを保つのにも役立つため、美肌効果も期待できますよ。 

りんごを食べるベストなタイミング

りんごを食べるタイミングによって、その効果を最大限に引き出せます。朝食にりんごを食べると、血糖値の急上昇を抑えてエネルギーを持続させることができ、間食としてりんごを取り入れることで、空腹感を抑え、過食を防ぐことができます。自分のライフスタイルに合ったタイミングを選ぶのがベストです。また、りんごは胃腸に負担をかけずに消化しやすく、炎症を抑える作用や疲労回復効果があるので体調不良の時におすすめの果物です。胃腸が弱って何も食べられない場合は皮ごとすりおろしましょう。りんごは胃酸が少ない時には胃酸を増やし、逆に胃酸が多い時には胃酸を中和する働きもあるため、食べすぎ・飲みすぎにもおすすめです。毎日の朝食や間食に取り入れて健康を維持し、体調を崩してしまった時にも回復に役立つりんごはまさに医者いらずと言えるかもしれませんね。

りんごは皮を剥かずに食べた方がいいの?

皮のテカテカは気にしなくてもいいのか

りんごがテカテカと光っている!触るとなんだかベタつくような感覚を経験したことはありませんか?食べても大丈夫なのかな…って不安になる方もいらっしゃるのではないでしょうか?実はこの現象はりんご自らが分泌している天然の物質で、「油あがり」と呼ばれるものです。りんごの表面はろう物質(果粉)の膜で覆われており、成熟するにつれて果肉に不飽和脂肪酸である、リノール酸やオレイン酸が増えていきます。完熟する頃にはリノール酸やオレイン酸は皮の表面ににじみ出てきて、ろう物質を溶かすことで光沢感のあるりんごになるのです。この油あがりはりんごの果肉の水分が蒸発するのを防いだり、傷から病原菌などが侵入するのを防ぐ役割があるため、新鮮さを保つことができます。また、油あがりはすべてのりんごに起こる現象ではなく、油あがりしやすい品種は「つがる」「千秋」「ジョナゴールド」「紅玉」と言われています。油あがりしにくい品種も多くあるため、品油あがりがないからといって完熟していない訳ではないのです。自然現象なので、もちろん人体には無害です。気になる方は軽く洗ったり、もちろん皮を剥いていただいても大丈夫です。安心して食べてくださいね。

皮ごと食べることで得られる栄養的メリット

りんごの皮には、実以上に多くの栄養素が含まれています。特にカリウムや食物繊維のペクチン、抗酸化物質のポリフェノールが豊富に含まれているため、皮ごと食べることでこれらの栄養を逃がすことなく摂取できます。また、100度以上で加熱すると、生の状態よりもペクチンの量が6〜9倍に増えるという研究結果もあり、腸内環境を整えたい方は加熱して食べることをおすすめします。消化吸収もしやすくなり、存分にペクチンを摂取することができるうえ、皮が気になる方でもすりおろして加熱すると食べやすくなリます。日本のりんごは厳しい残留農薬の基準をクリアしたものが出荷されているため、安心して皮ごと食べられますが、農薬が気になる場合は無農薬のりんごを選ぶか、十分な洗浄を。生で食べるときに皮が気になるという方は切り方に工夫を加えてみましょう。りんごを横向きにして、お好みの厚さでスライス(輪切り)するだけで、皮の食感が気になりにくくなります。芯の部分を指でつまんで、シャキシャキとチップスのように食べてみてはいかがでしょうか?

楽しめるのは冬だけ!蜜りんごのヒミツ

甘さ際立つ蜜りんご

蜜りんごは秋から冬にかけて、この季節ならではの味覚を存分に楽しむことができます。特に11月中旬から年内くらいの時期に出回る蜜りんごがおすすめです。蜜りんごは他のりんごと比べて特に甘くジューシーな味わいが特徴です。その甘さの秘密は、りんごの成長過程で果肉にたまる「蜜」と呼ばれる部分にあります。蜜とは、果肉の中心部に集まった果糖やグルコースの濃縮された液体のことで、成熟が進むと自然に発生します。この蜜が多いりんごは、収穫時期や栽培方法によって異なり、寒暖差の大きい地域や、収穫前に急激に冷え込むといった気候条件が影響すると言われています。蜜りんごの美味しさは、単に甘さだけでなく、酸味とのバランスも大きな要素です。適度な酸味があることで、甘さがより際立ち、深い味わいになるのです。また、蜜が入ることで果肉が非常にジューシーになり、一口かじるごとに溢れるような果汁が楽しめます。この独特の風味と食感が蜜りんごの魅力です。

蜜の多いりんごの品種

 蜜の多いりんごとして、蝶結びでは「サンふじ」をはじめ、「こみつ」、「冬恋」などを取り扱っています。袋をかけずに栽培されることで、太陽の光をたっぷり浴びたサンふじは、自然な甘さの際立つ一方で、甘味と酸味のバランスが非常に良いため、「りんごの王様」とも呼ばれています。驚くほど蜜がたっぷり詰まった、こうとくの中でも糖度14度以上のものはこみつと呼ばれ、パイナップルのような甘味とトロピカルフルーツのような香りを持っており、実の80%を蜜が占めると言われるほどに蜜がたっぷり詰まっています。前者2種類の蜜りんごは一般的な果皮の赤いりんごですが、冬恋の果皮は黄色です。果皮の黄色い品種の中にも甘い蜜りんごがあるのってなんだか意外ですよね。冬恋は黄色りんごのひとつである、「はるか」から厳選された、糖度や蜜入りに優れた最高級のブランドです。黄色りんごの中では珍しく、蜜の入りやすい品種で、糖度・蜜入り・見た目において高い水準を満たしたものが冬恋となります。

旬の美味しいりんごを楽しみましょう!

美味しいりんごの見分け方

スーパーや果物屋さんに行くと、たくさんの種類とりんごが並んでいて、どれを選べばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか?美味しいりんごは見た目と重さで判断することができます。甘味が強く、濃厚な味わいのりんごは表面にハリとツヤがあり、ふっくらとしています。油あがりしていると新鮮な印ですね。りんごの品種によって色味は異なりますが、基本的に色がはっきりしていて、色ツヤが良いほど熟していると言われています。表面に傷やへこみがあると一気に鮮度が落ちてしまうため、傷やへこみが少なく、りんごのおしり部分が丸みを帯びながら深くくぼんでいて、変形していないものを選びましょう。赤いりんごの場合、おしり部分がオレンジ色や黄色のものは蜜が入りやすい傾向にありますよ。新鮮なりんごに出会った時、ツルを残した状態で見かけることもあるでしょう。そんな時は、ツルにご注目ください。ツルが太くてハリのあるものを選びましょう。ツルの太いりんごは十分な栄養を受けて成長した証。ツルがしなびているりんごは鮮度が落ちている可能性が高いです。同品種のもので比較すると、ただ大きいものよりも中くらいで重みがしっかりあるものが良いです。ずっしりとしたものは水分が多く、みずみずしいことが多いとされています。 

長く楽しむための保存方法

りんごは基本的に常温で1週間、冷蔵で2〜3週間の保存が可能です。りんごを長持ちさせるには、常温の場合は直射日光が当たらず、風通しのよい冷暗所で保存します。気温が18℃以上になると傷みやすくなるため、夏場は冷蔵庫に入れましょう。りんごは低温・高湿度の環境を好むため、冷蔵庫の野菜室が保管場所として最適と言われています。冷蔵庫で保管する際は、りんごを1つずつ新聞紙やキッチンペーパーで包んでからポリ袋に入れましょう。りんごは植物ホルモンのエチレンを発し、他の果物や野菜と一緒に保存するとそれらの熟成を早める場合があるので注意が必要です。美味しいうちに食べきれそうにない場合や鮮度が落ちてフサフサとした食感の悪いりんごになってしまったら、加工して美味しくいただきましょう!ジャムやコンポートにしてアップルパイにしたり、お手軽にヨーグルトやバニラアイスに添えてお好みでシナモンパウダーを振るだけでも、なんだかワンランクアップしたようなデザートに。ジャムは砂糖の代用として調味料にも使えるので何かと便利ですよ。お料理のアクセントにもなって、冷凍して保存も長期間できるのでおすすめです。